講義録
前半は基礎的な照明の知識を中心に、後半は実際に岡先生の手掛けた作品のスライドを用いながらご講義いただきました。以下は講義で使用されたスライドからの抜粋と講義内容をまとめたものです。
 
岡 幸男先生
(株)ライズ 代表取締役 近畿大学 非常勤講師
1972年 大阪芸術大学卒業
1972年 LDヤマギワ研究所を経て
1986年 ライズ・ライティング・デザイン事務所設立
1990年 (株)ライズ設立
●主な実績
●大阪府立大学学術交流会館、和倉温泉加賀屋、ミキハウス本社ビル[照明計画 ・デザイン]●国際花と緑の博覧会「風のモニュメント」●大阪駅中央コンコース「柱オブジェ」●泉佐野市総合文化センター [照明計画 ・デザイン ・モニュメント]●大阪ドーム パ・ドゥ広場 [照明計画 ・デザイン ・モニュメント]●クリスタ長堀[照明計画 ・デザイン]●キッズプラザ大阪 [モニュメント]
前半:「照明の基礎知識」

1.光源=ランプは、大きく分けて2種類あります。
・ 白熱灯… 調光がスムーズにできるので、微妙な光の変化が欲しいときに用いられる。単価は安いが、寿命が短い。
・ 蛍光灯… 同じ電力で 白熱灯より明るく見える。寿命も長いので、省エネに役立つと言われる。
2.色温度
色はその光源が持つ光色によって物の見え方に差が生じます。それが「色温度」です。
高い色温度(蛍光灯)は青白い光に見え、低い色温度(白熱電球)は赤い光に見えます。人間には学習能力があるため、白熱灯と蛍光灯の光源の違いで色を間違えることはありませんが、見比べるとその差は大きいことがわかります。例えば、スーパーマーケットの生鮮食品売り場では、緑色をより鮮やかに見せるために蛍光灯を用います。寿司屋の赤身をきれいに見せるには白熱電球を用います。特に食べ物を扱う店舗は、照明の違いで美味しそうに演出することができます。
また、色温度は生活リズムとも関係しています。1日の中で活動が活発になるお昼には色温度も高くなるので、オフィスやコンビニエンスストアでは、色温度の高い蛍光灯を用いると効率も上がると言われます。逆に落ち着いた空間を演出したい場所、高級レストランやホテルは夕方の光のように色温度の低い光源を用います。
3.グレア(=眩しさ)
グレアは主に過剰な輝きによって起こります。しかし、グレアは決して不快なものばかりとは言えません。シャンデリアのように比較的輝度の低い光源を用いた照明は、グレアを生じないように注意すると、それ自体の輝きが魅力的なものになる。また、海や湖で水面がキラキラ輝いて見えるのも、太陽の光が水面に反射したグレアの一種です。
4.照度(=ルクス(lx))
「明るさ」を示す「照度」は、その作業目的や場所によって快適さが変わってきます。曇りの屋外では約1万lxです。では、勉強や事務に適する明るさは500〜1000lx、お店の陳列棚も1000lxぐらいが良いとされています。
後半:「照明の演出」

<光の彫刻展>
北海道で行われた祭典です。屋外のため、思っていたイメージ通りにはいきませんでしたが、照明を演出するイベントとして楽しいものになりました。

<クリスタ長堀>
心斎橋の長堀通りにある「クリスタ長堀」の照明計画を手掛けました。ここは地下街なのに地上からの採光がふんだんに取り入れられている特徴があります。そこで、なるべく自然光に近い明るさを出すために蛍光灯と白熱灯の両方を設置し、さらに外の明るさに合わせて調光ができるようにして、外界との違和感をできるだけ少なくするように計画しました。照明計画をたてる時は、メンテナンスする側の方々にも設計の趣旨を理解してもらう必要があります。

Q. 先生が照明計画に携った「クリスタ長堀」などは、飲食店と物販店が混在しているので、店舗によって閉店時間も違うと思います。照明計画をする上で、何か工夫はありますか。
A. 閉店時間の異なるショッピング街などは、テナントの協力も必要になってきます。「クリスタ長堀」では、メインストリートの物販店のシャッターを中の見えるパイプシャッターにし、閉店後も店舗の明かりをつけてもらっています。
Q. 光のイメージを伝えるのは難しいと思いますが、依頼主と打合せをする際、どのような方法で説明をするのですか。
A. 自分の持っているイメージに近い写真を用いることが多いですが、時間に余裕のある場合は、模型を造り、実際に光を当てたりしてより理解してもらえるよう工夫します。
Q. カーテン販売の仕事をしています。お客さまに商品を選んでもらう際に気をつける点はありますか。
A. カーテンを選ぶ際は、自然光に近い混合照明(白熱灯と蛍光灯両方をつけた状態)の下で選ぶのが適切です。そうしないと、太陽の光に当った時に違う色に見えるなどのトラブルが起こり得ます。
つまり、照明計画はその店舗の利用目的に応じて光源を選ぶことが大切です。
岡幸男先生より一言
「照明」だけで魅力的な空間がつくれるとは限りません。照明が同じでも、床や壁の色が違うだけで、全く違う雰囲気になってしまいます。照明をひとつの要素としてトータルなコーディネートをすることが必要です。前半にお話した光の特性を考えながら上手く照明計画を立ててください。

受講生の声 アンケートより抜粋
照明というと、後からついていくもののような感じがしていましたが、今日のお話を聞いて、光を考える事でその建築物のイメージが変わってしまうというのを感じました。(27才・女性・CADオペレーター)
何気なく普段行っていたスーパーマーケットの陳列棚ひとつにも照明計画がある事など、今まで考えていた以上に照明演出の奥深さを感じました。(28才・女性・OL)
限定された空間の中で、いかにイメージして雰囲気づくりをするかということをとても考えさせられました。今日は照明のいろんな発見ができた良い時間でした。(24才・女性・出版関係)

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