| ここ数年、「ビフォーアフター」などのテレビや一般雑誌で取り上げられる機会も増えるなど、住まいへの関心の高まりとともに住宅リフォーム市場拡大への期待が高まっている。今回は、住宅リフォーム市場の現状を探るとともに、リフォームを多く手がける建築家の方に『リフォームの魅力』についてお話を伺った。 |
| ● 住宅ストックの増加 |
| 現在の住宅リフォーム市場規模は推計データによると、ほぼ横ばいの状況である(図1)が、長期的には右肩上がりの傾向にあると考えられる。総務省が2004年8月に発表した2003年10月現在における総住宅数は5,387万戸、総世帯数は4,722万世帯で、1世帯当たりの住宅数は1.14戸と量的には充足している。また、居住世帯のある4,684万戸の内、建築後20年超の住宅が約50%あり、「リフォーム適齢期」を迎えるストックが今後のリフォーム市場を支えると見られる。(図2) |
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棒グラフは狭義のリフォーム市場規模。折れ線グラフは、新設住宅に区分される増築・改築戸数の工事費とリフォーム関連の家庭用耐久消費財・インテリア商品等の購入費を加えた金額。 |
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図1 住宅リフォーム市場の規模
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「建築着工統計年報」(国土交通省)、
「家計調査年報」(総務省)、
「全国人口・世帯数・人口動態表」(総務省)等より推計 |
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図2 総住宅数及び総世帯数の推移全国(昭和33年〜平成15年)
| ※資料/ |
「平成15年住宅・土地統計調査」(総務省) |
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| ● 住宅市場をとりまく課題 |
日本における住宅の平均寿命は総務省が1993年に発表した住宅統計調査によればわずか26年だ。「わずか」とあえて付け加えるのは諸外国と比べて圧倒的に短いからである。イギリス141年、アメリカ96年、フランス86年、ドイツ79年といずれも100年近く住宅を保たせている。欧米が全て優れているというわけではないが、家を大切にして長持ちさせる感覚は見習うべきである(住宅評論家瀬川誠氏)。かの地では中古住宅市場も盛んで、年数を経た中古物件の方が新築よりも価値を認められて高値で取引される事も珍しくない。
しかしながら、わが国では中古住宅市場は発展途上であり、その理由には[1]中古住宅の評価が適切になされず、性能等に不安があること。[2]住宅を大切に使っていくためには適切にリフォームしていく必要があるが、どこに頼んだらいいのか、また、その費用が適正かどうか不安が多い。[3]住宅を借りる際に適切な情報に乏しく、中古住宅・賃貸住宅として既存ストックを活用し、必要に応じて住み替えていく環境が整備されていない。といった問題がある。 |
| ● 国家の取り組みと今後の見通し |
これらの問題を解決すべく、国土交通省では2001年「住宅市場整備行動計画」をとりまとめ、今後の住宅政策として[1]耐久性が高く質も高い住宅ストックを形成し(新築住宅市場)、[2]それを適切に維持管理し(リフォーム市場)、[3]市場で循環させてゆくこと(中古・賃貸住宅市場)に重点を置いていく方針を打ち出した。
この方針に基づいて市場整備施策を講じることにより、2015年には中古住宅の流通量を倍増(約30万戸強)とし、住宅リフォーム市場の規模は現在の約3割増の約6兆円、またリフォームについては今後、バリアフリー化、耐震改修、省エネルギー改修の普及促進に向けた施策努力を行うことにより、リフォーム件数が増加し、それによって雇用が創出される結果、リフォーム関連(リフォーム・メンテナンス)の雇用については現在約71万人が2015年には約93万人と22万人程度の増加を見込んでいる。
また、住宅品質確保促進法の改正により既存住宅性能表示制度が平成14年12月に開始されるなど、住宅リフォームは確実に促進されると考えられる。 |
| ● 住宅業界の動き |
| 住宅業界ではミサワホームなど1980年代からリフォーム事業専門の関連会社を設立したメーカーもあるが、三井ホーム・積水ハウスなど大手ハウスメーカーのほとんどがここ数年でリフォーム専門部門を分社化するケースが増えてきている。(図3)このほかの主要メーカーもリフォーム事業の強化を進めていくものと考えられ、民間レベルでも確実に住宅リフォーム市場拡大への動きが活発になってくると思われる。 |
| ミサワホーム(株) |
1982年 |
ミサワホームイング(株)設立 |
| 住友林業(株) |
1988年 |
住友林業ホームテック(株)設立 |
| 三井ホーム(株) |
2002年10月 |
三井ホームのリフォーム部門と、三井デザインテック・リモデリング事業部の2つの力をひとつに結集し、三井ホームリモデリング(株)設立。 |
| 積水ハウス(株) |
2002年 |
全国にリフォーム営業所を設置 |
| 2005年2月 |
リフォーム専門の積水ハウスリフォーム(株)を設立予定 |
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出典:各社公式HPの会社情報・沿革・人員募集情報 |
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| ●スクールからのお知らせ・・・・ |
大阪ガスインテリアデザインスクールでは、リフォーム業界で活躍できる人材を育成するべくリフォームを専門に学べる「リフォームプランニングコース」を2005年4月開講します。 |
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| もとあるものをうまく利用して素敵なものへ |
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| Q1. 新築とリフォーム、どちらを多く手掛けられますか? |
| 件数はほぼ同じです。「建替えないと無理ですよね?」と新築の相談に来られたお客様でも、話を聞いてみると何とか出来そうだということで、いつの間にかリフォームすることになってた・・なんてこともよくあります。 |
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| Q2. リフォームの難しさは? |
新築だと、ある程度予測できる範囲の仕事になりますが、リフォームの場合は100件あれば100件とも事情が違います。それに20年以上前の建物をリフォームすることも多いのですが、その頃の建物は法規制も建築概念も今とは違いますから、簡単に増築したりできませんし、そのあたりの判断が難しいですね。
これからリフォームを学ばれる方は、現在の建物の構造だけでなく、20〜30年以上昔の建物についても理解しておく必要があると思います。昔の建物というのは、断熱とか換気とか、そんな概念すらなかった時代の建物です。内装の壁紙を張り替えたりということは簡単に出来ても、家そのものを丈夫で安心出来るものにしなければなりません。 いざふたを開けてみれば給排水管が腐っていた、という場合は、そこから修繕しなければならないことも多くあります。 |
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| Q3. リフォームの良さは? |
| もともと日本はヨーロッパなど石造りの建築文化に対して、壊して建替えが比較的簡単な木造の建築文化なんですね。ですから古くなればすぐに壊して新築、新築となります。それにどこか「古いものを使いまわすなんてケチくさい」という感覚があるじゃないですか(笑)。でも、壊してしまったものは元には戻らないのです。せっかくいい素材が残っているのなら、それを利用した方が予算的にも助けになりますし、ただ「古くて価値のないもの」と思われていたものが、少し手を加えることでに愛しく思えたり、素敵なものに見えてきたりすると思うのです。(談) |
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| Profile |
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西濱浩次(にしはま こうじ)
大阪市生。京都工芸繊維大学住環境学科卒業。日本建設、北村隆夫+ZOOM計画工房を経て、現在 (株)コンパス建築工房代表。一級建築士。テレビ朝日「ビフォーアフター」過去3度出演。
●(株)コンパス建築工房 http://www1.odn.ne.jp/compas/ |
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| 施主さんに予想以上に喜んでいただけると楽しい |
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| Q1. リフォームの難しさは? |
| 現況の図面がない場合、外見ではわからない部分を予測しながらの仕事になるため、工事に取り掛かってから「開けてびっくり」になることがあります。図面があってもその通り建てられているとも限りませんし。リフォームをするところと、そのままさわらないところの繋がりが不自然にならないように工夫したりしています。 |
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| Q2. リフォームの良さは? |
快適に住むための提案は新築・改築を問わず同じなのですが、リフォームの場合、施主さんは具体的な希望を持っている場合が多く(例:使いにくい、古い、汚い、狭い)それらが解決されると、新旧の差が歴然となるため、「わぁー」と喜んで頂けるところが楽しいですね。
また、建替えの場合も言えることですが、使い慣れたもの、思い出のあるものを工夫して利用すると、懐かしい思いも加わって、結構面白いものが出来たりします。床の間廻りの建材などは良く再利用しています。 |
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| Q3. これからリフォームの仕事を目指す方へ |
| 何が不満で何をしてもらいたいのか、聞く耳を鍛えると良いと思います。何をどうしたら良いのかわからない施主さんはたくさんいますが、何が困り事なのかは聞けばわかるからです。リフォームは水廻り関係が結構多いので、給排水や電気のことを少し勉強しておくと武器になると思います。また建築の工法によって、出来る出来ないの判断が必要になりますので、そうした知識も身につけておくと良いでしょう。 |
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| Profile |
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松代眞理(まつしろ まり)
東京都生。明治大学大学院工学研究科建築学修了。神谷五男+都市環境建築設計所を
経て、キタムラ建築設計室。新築・リフォーム・商業建築等を手がける。
一級建築士・インテリアプランナー・インテリアコーディネーター。
大阪ガスインテリアデザインスクールではインテリアコーディネーター総合コース担当。
●キタムラ建築設計室 http://www.kitamura.e-arc.jp/ |
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| 今あるものをどう活かすかを考える |
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| Q1. リフォームで苦労される点は? |
| リフォームは新築に比べて低価格・短期間でできるせいか、最近は気軽に頼んで来られるお客様も多いのですが、自分自身のライフスタイルを深く考えずに来られると提案しにくいです。「こんな風に暮らしたい」というものが根底にあればいいのですが、あやふやな考えのままだと、せっかくリフォームしても中途半端な仕上がりになってしまいます。またモノが捨てられない、整理できないというお客様も多いですね。自分の生活に何が必要なのかをよく考えて、不必要なものは捨てる、という覚悟もいると思います。限られた予算内で、より満足の行くリフォームにするには、建築家にまかせきりにするのではなく、「自分自身がどう暮らしたいのか」を深く見つめた上で、依頼していただくといいと思います。 |
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| Q2. リフォームの良さは? |
| 今あるもののうち、どの部分を活かそうか、と考えるのは面白いですよ。以前にリフォームさせていただいた「橿原の家」では、母屋と古い蔵、玄関の格子などきれいなものがありましたので、そのいい部分を残しました。また、古くからの日本家屋は間仕切りが多いのですが、思い切って仕切りをなくして広い空間にすると、違った空間が出来上がるようで、喜ばれるお客様が多いです。お客様が喜ばれる姿を見ると、私もとても嬉しくなります。 |
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| Q3. これからリフォームの仕事を目指す方へ |
マンション・木造どちらにしても、構造と設備に関する基礎知識は身につけておくことが大事です。もしわからない時には、構造担当の設計者に聞くという方法もあります。木造の場合は特に、構造を考えずにむやみに柱を取り払うこともできませんからね。
今後、リフォームは増えこそすれ減っていくことはないと思います。スクールからリフォームの道に進まれる方もたくさんいらっしゃるでしょう。自分が担当している物件だけではなく、いろいろな建物を見て「古いものをどう活かしているのか」という点に関心を持っておくといいですよ。大阪にも、古い建物を改装したカフェなども増えていますし、ぜひたくさんの建物を見て参考にして下さい。(談) |
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| Profile |
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谷口美樹子(たにぐち みきこ)
大阪市生。大阪市立大学生活科学住居学科卒業。(株)浦辺設計、アトリエ・トリフォイル室内建築事務所を経て、
谷口建築設計室 設立。一級建築士。2003年テレビ朝日「ビフォーアフター」出演。大阪ガスインテリアデザインスクールではインテリアコーディネーター総合コース・リフォームプランニングコース担当。
●谷口建築設計室 http://www.h7.dion.ne.jp/~m-tan/
「橿原の家」など、今まで手がけられた住宅作品を公開されています! |
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