野口 健一郎 Noguchi Kenichiro (2000年5月〜2001年4月在籍)
最優秀賞 “仮設診療所”@temporary clinics/〜都市の中のマッチ箱〜
コンセプト
大阪天満宮界隈に点在する“空き地”を“仮設診療所” 用地として利用する。
引き出しの開け閉めという簡単な“仕掛け”によって出現する“仮設診療所”。
“単純な骨組みによる皮膜構造”は分解・組立が容易に行え、車輪の付いた引き出しに載せ“必要なときに必要な場所へ”移設可能である。
“仮設診療所”は、地域住民によるトラスト運動的な組織により運営され、地域住民自ら希望する診療行為や情報を提供する“都市のメディアボックス”と化す。この提案は、恒常的な土地利用形態を提案するものではないが、大阪天満宮界隈におけるコミュニティを繋ぐ“装置”に成り得ると考える。
 


卒業制作担当講師 本多 友常先生 講評
バブル崩壊後、都市の未利用スペースは制御出来ない空白として、見過ごされてきている。
都市を形成していく上で、その無限に変化し続ける空白地において、単なるスペースの利用を越えて、住民の意志を介入させながら展開される仮設診療所の提案は、時と場所と社会的なニーズを同時に包含するものとして、今日的な課題を表現している。診療という衛生学的な課題においては現実化への壁は厚いものの、アイデアの考え方に評価の重点が置かれた。
卒業制作担当講師 長瀬 信博先生 講評
この作品は建築を一時的なインスタレーションとして扱い、現代の都市において様々な観点を描き出すことにより一時的な物との狭間を埋めるという動的な変化を建築に与えた作品として大きな評価が得られた。
その観点とは、現代の診療行為を、移り変わる物の移動に置き換えて、さながら痛みの変化そのものとラップさせて表現している点、また、都市の中の空隙を診療行為に埋めると言う、物理的な作用をメンタルに置換した視点。そして、建築の構成を最小限に押さえ、建築の原形が如何にあるのかを模索している点があげられる。
ただし、空間の構成を見た場合に、原形が強くあらわれ空間構成の表現が弱い点が気になるが、それを補うように全体のシステムとの融合が図られればさらに良い作品となっただろう。