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このところ、たて続けに中国に出向くことが多かった。これはアジアインテリア学会(Asia Interior Design Association 以下AIDIAとする)と云う学会が設立されたためでもある。
この学会は2000年に第1回会議が韓国、ソウル市で開催された。2年後、2002年に中国、西安市で第2回会議が開かれ、この会議に日本インテリア学会代表として日本インテリアデザイナー協会理事長(当時)木村戦太郎氏らと参加した。翌2003年に南京市において中国インテリア学会(CIID)年次大会が開かれた。この大会に中国側から招待され中国他、台湾、マレーシア、シンガポールなどアジアのインテリア関係者と知り合うことができた。 |
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課題のグループ製作でのミーティング (学生撮影) |
さらに翌2004年、中国上海市、同済大学でAIDIA主催の学生ワークッショップが開かれ、インテリアデザインを学ぶ日本の学生等をつれて参加した。このワークッショプはその年の秋、日本の東京で開催される第3回AIDIA会議(大会長、加藤力)の下準備の打ち合わせを兼ねたものでもあった。 また、第3回AIDIA会議の終わった直後、2004年の中国インテリア学会年次大会が寧波市で開催され、これにも招待を受け参加し、中国インテリア関係者と親しく交歓することができた。
昨年も中国インテリア学会年次大会が景勝地、桂林で開かれ、招待を受けたものの、仕事の都合上残念ながら、見合わせた。
このように中国インテリア学会は中国各都市で毎年、年次大会が開催されているが、これに合わせるようにその土地土地で中国の住宅・インテリアに関する大規模な見本市が催されている。こうした状況を見る機会に恵まれたことから、多少なりとも中国インテリア事情を知ることが出来たので、これについて述べたいと思う。
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北京オリンピックを控えて、日本の建築情報誌などでは一部日本の建築家の活躍や上海に建つ建築の紹介などが取り上げられている。それらのことはそちらにまかせて、ここでは中国の住宅・インテリア業界や産業、あるいはインテリア教育のことについて取り上げる。
もっか、中国各都市では、戦前、戦後に建てられた古い住宅が跡形もなく取り払われて、超高層の新らたな住宅建設がすごい勢いで進められている。ご承知の通り、中国の住宅はスケルトン&インフィルである。すなわち、住宅躯体だけが提供されて、内装・インテリアは居住者によって自分たちでまかなわれる。これは欧米の方法とかわらない。このためか、一般の人々のインテリアに対する関心は異常に高い。
例えば、住宅・インテリアの見本市会場では、インテリア設計相談コーナーは途方もなく大きなスペースが与えられていて、そこには一般市民がクモの子を散らすがごとくに集まり、大盛況である。相談員はいずれも若い中国のインテリアデザイナー等の専門家達である。日本とは大違いのインテリアブームである。ここで、市民達は自分たちの住まう住宅インテリアの相談を受け、契約を結ぶ。
このため、中国の大学ではインテリア教育は盛んで、インテリアの専門家の育成に渾身の力を入れている。インテリアに対する並々ならぬ意気込みと気概がひしひしと感じられ、かつての日本の1980年代のインテリアブームなどとは比べようもない強い熱気の中にある。
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一応、中国インテリア学会は中国建築学会の一分科会ということになっているものの、インテリア学会、会員数は8,000人にも及ぶ。各地で開催される年次大会には、国内外を含め3,000人が動員され、大変な活況ぶりであることは間違いない。ちなみに日本のインテリア学会員数は約500人、大会参加者も毎年150人ほど。中国と日本の人口差を10倍と見積っても中国の大フィバーぶりのすごさは分かる。
さらにインテリア学会の大会も日本では堅く、学術研究発表などに時間を割くが、中国ではその時分の国内外のインテリアデザイナーを呼んで自作の作品紹介の講演会、プレゼンテーションなどがおこなわれ、日本のそれとは本質的に趣向を異にする。
学会の費用も多くは今を時めく中国内インテリア企業が大半を負担し、その羽振り良さは目をむかんばかりである。また、大会会期中には別会場を使って、若手、中堅デザイナーあるいは学生に対するさまざまなその年のインテリアデザイン優秀作品表彰賞が、まるでアカデミー賞受賞式さながらビジネスショー化した趣向と雰囲気の中で与えられる。むろんこれらの費用も中国インテリア産業の企業がスポンサーとなってバックアップする。この授賞式に中国各地からインテリアデザイナーなど専門家、学生達が我も我もと馳せ参じ大変な熱狂である。
このように中国インテリア産業は今、花盛りの真っ只中にある。日本の経済的に窮している哀れな学会の現状とはこの点で似ても似つかない。
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| 開会式 |
作品展示ブース |
若手デザイナーへの作品優秀賞の 授賞式 |
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| ●2005年度中国インテリア学会の様子:中国インテリア学会(CIID)ホームページ(http://www.ciid.com.cn/)より |
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たとえ地方都市でも住宅・インテリア見本市は郊外の広大な敷地の広大な会場に数多くの建材メーカー、衛生機器メーカー、キッチンメーカー、住宅部品メーカー、家具メーカー、ファブリック、設備製品、ウィンドトリートメント、材料メーカー、それにディベロッパー、あるいは行政コーナー、などが商品実物やカタログ、技術資料など盛りたくさん置いて出展している。
オープニングセレモニーには政府や官庁の要人、党(共産党)の地区代表者、あるいは学会の重鎮、大学教授、海外からの招待者、その他多くが出席して華々しくも賑々しく開催される。加えて、多くの一般市民が動員され、興味深げに歩き回る。
産官学、は日本のことで、中国ではこれに党が加わり、4者ともぞろえの燃え上りぶりでもあり、住宅・インテリアにかける意気込みが日本とは違う。日本の企業も一、二出展しているものの、その影は薄い。肝心の商品の性能はいざ知らず、デザインやその内容は日本のそれと遜色はない。
このインテリア産業を支えているメーカーの経営者の幾人かと話す機会があった。驚くべきことに皆一様に若く、おそらく地方に工場をもっているのだろう。見かけは純朴そうである。だが、野心満々の伸びざかり、これからひと儲けもふた儲けもと云った気概がうかがえる。我が国で云うならば,丁度、ナントカ族とかいわれるIT企業の社長達に相当するのだろうか?あるいは戦後間もない頃の日本の経営者はおそらくこのようであっただろうと、思ったりもした。
中国のインテリア企業の経営者は若いのだ。つまり、インテリア産業はまだまだこれから伸びるし、留まることがない。
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| ホテルロビー (設計:Wang Qiong) |
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| レストラン (設計:Philip
Heit) |
10年前にも、そして20年前にも中国には旅をした。10年前は日本インテリア学会で企画した旅行で、文化大革命後の新しい中国のインテリア文化を見て辿る旅であった。この時は中国の当時一流ホテルと云われるインテリアを見て回った。上海ですら1920年代の租界時代のものの方がより善く感じられるほどに新しいホテルインテリアは貧弱であった。
20年前は中国各地の大学において、日本のインテリアについての講義をしてまわった。日本のオフィスのOA化の実情や日本のインテリア教育の現状について話し、中国の若い人たちが目を輝かして聞いてくれたことを憶えている。その頃は私も若く、最先端を語っていると云う自負があった。
中国の今は、街の雰囲気もインテリアの有り様も当時から比べると隔世の感がある。教育にもそれは云える。中国の若いインテリアの教育者達はもはや日本からは学ぶものは無いと云う顔をしている。
ところで、中国のホテルのインテリアデザインのレベルは、10年、20年前とは比べようもなく質は向上している。地方都市のホテルまでもインテリアデザインは充実、レベルアップしている。
むろん香港、上海経由で海外のインテリアデザイナーの招聘の結果だ、と云うこともできる。あるいは海外の資本が注入されたためと、受け止めることは出来よう。施工性という観点から多少の難点を指摘することは出来ようが、しかし、それ以上に空間の質、デザインの密度、センスの洗練度には目を見張るところがあり、見るべきもの、参考になるものがある。ホテルは国家の表層の顔であるから、当然と云えば当然であろう。
一方、街のショップデザインやコマーシャルインテリアに目を転じてみれば、自由主義経済の国と比べれば、何と言っても未だ差が出て当然、致しかたがない。何がどのように違って見えるか?あえて上げれば、華やかさに欠け、高級性を知らず、きらめきに薄い。柔和でなく、気負いがあり、面妖な主張がある。どこかホコリぽく、怪しい印象を辺りに振りまき、何か臆面も無い。これは文化の相違による感覚の受け止め方の違い、と云ってしまえばその限りである。
だが、住宅のインテリアのレベルの向上は確かであり、一般の人々の暮らしとインテリアに対する目はすでにかなり先をみている。だとすれば、早晩コマーシャルインテリアも自由主義のそれとかぎりなく近くなるだろうことは想像にかたくない。
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中国のインテリアについて取り上げた。むろん、駆け足の点と線のような見聞であって、しかも言葉もままならい中での憶測である。当然、かん違い、思い違い、読み違い、見当違いなどに包まれたものであることをご承知の上、差し引いてのご判断を願うものである。 |
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