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Interior Brush up Seminar トークセッション「暮らしの中のデザイン」 【テーマ】トークセッション「暮らしの中のデザイン【講 師】野井成正(野井デザイン事務所 インテリアデザイナー)・服部 滋樹(graf代表 空間デザイナー)【開催日】2004年1月14日(水曜日)19:00〜21:30【会 場】大阪ガスインテリアデザインスクール 6F A教室【参加者】63名
野井成正
プロフィール
デザインリソース
インテリアデザイナー 野井デザイン事務所
服部滋樹
プロフィール
デザインリソース
空間デザイナー graf代表
 
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「暮らしの中のデザイン」について
 
服部先生
ショップデザインだからといっても、そこに生活している人、オーナー、バーテンダーもショップの中にその人の暮らしはあります。お客さんにも、その人の暮らしの時間の中で、バーに来るという行為がデザインされています。ショップデザイン、飲食店デザインの中から「暮らしの中のデザイン」について話しましょうか。

野井先生
今年は、小津安二郎監督の生誕100年にあたるそうです。なぜ映画の話をするかと言うと、小津監督の映画で登場する、小道具、つまり生活の中の道具は、物語に対して雰囲気、デザインがピタッとあっているのです。最近、特に好きになってきました。

服部先生

うまい具合に、話題を持っていきますね。

野井先生
一見、退屈そうなスローモーな映画のように思うのですが、画面構成や美術など様々な要素をじっくり見ると、味わい深いものがあります。道具は彼が重要な要素と考えていて、代表作「東京物語」の中で、息子や娘の家を訪ねていくシーンがあるのですが、セリフではなく小道具で、子供の生活環境の背景を、見る人に暗に理解させています。

服部先生
生活者が実際に何を選ぶかによって生活感も変わりますね。例えば、60歳すぎの人が選ぶ食器、お茶を飲んでいる空間自体も、その人の生活に対する考え方がふんだんに踏まえられていますね。

野井先生
台詞は少ないですが、登場人物の性格が小道具によって現れています。そういう見方をすると、奥の深い映画だと感じます。
話は変わりますが、前半に見せていただいた服部さんのミラノサローネの写真を見て思ったのですが、ミラノで整然と並べられている椅子も、余白や空間があって、天井が高くて、あの並び方はすごくきれいだと感じました。自分で引っ張りだして空間を造る、とてもいい演出だと感じました。

服部先生
今回、インストレーションをしてわかったのですが、ワインやブランデーを飲みたい人達は、椅子の選び方が違います。彼らは、ラウンジ系のクッションを巻いたようなソファを選んで、しかも暗いところに持って行って、たむろして座って飲みます。逆にアクティブに動きたい人は、シートハイ450〜470mmぐらいの高めの椅子を選びます。
空間の使い方を試したら、こんなにもはっきりするものだとわかり、とても面白い経験でした。

野井先生
私もミラノサローネに出品しました。僕自身は行けなかったのですが、プロデューサーに頼んでセッティングしてもらいました。直に見にいって目線を自分で確かめるべきだったと反省しています。

服部先生
今年は、行きましょうよ。

野井先生
お金があったらね。(笑)

服部先生
飲みに行くのをやめたら?(笑)

野井先生
バーに行きたくなるのは、お酒を飲みたいことも理由ですが、面白いバーテンダーに会って得ることがあるという期待があるからなのです。単にお酒を飲むだけだったら、冷蔵庫を空けてテレビでも見ながら缶ビールを飲む方がいいのですが・・・。
携帯電話の話じゃないけど、皆コミュニケーションに飢えているのではないでしょうか。人とどう向きあったらいいか分からないから、電話に頼るのではないかな。だから、もっと身近に触れ合うことができる場を提供するべきだと思いますよ。

服部先生
空間のつくり方もそういう言い方ができますよね。違った目線をつくり、新たな目線が生まれる、それ自体がコミュニケーションなのです。常にあるものが違った形に見えるのは、空間が人に対してコミュニケーションをとろうとしているような感じもあるし。どれを見てもコミュニケーションが重要だと思います。ここにあるデスク一つも、照明だってそうだし・・・。すべては、コミュニケーションのために生まれているような気がします。

服部先生
インターネットが普及したおかげで、顔は見えなくてもネット上で会話することができるようになりました。何故ネット上で会話がされているか?それは、"場"が少なくなっているからだと思います。
経済状況も悪いので、ソフトの中でコミュニケーションをとっていることもあるかもしれない。バブルの時は、派手なバーに沢山人がきて、皆が高級レストランに行ったりしていました。でも、あの時はコミュニケーションなんて一切考えもしなかったような気がします。しかし今は不景気で、コミュニケーション下手になっています。デザインの重要性も、僕らがコミュニケーションに方向性を持っていくのも、経済状況からなる風潮に左右されているように感じます。

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「デザインプロセスにおける施主とのコミュニケーション手法」について
 
服部先生
僕らの仕事は、頭の中にあることを絵に描いて表現することはできます。質感を与えるために言葉を使う。しかし野井さんが「暖かい」というのと、僕がいうのは違ってきます。そこにオリジナリティが生まれて、それを伝えるのがコミュニケーションではないでしょうか。大切で難しい仕事をしているように思います。
野井さんは、普段どういうコミュニケーションの手法をとっていらっしゃいますか?

野井先生
僕は絵が好きなのです。Macは持っているけど使ったことがありません。いわゆる、置物です。(笑)

服部先生
オブジェ。(笑)

野井先生
苦手なので、すぐ自分の手で描いてしますね。一つの形にまとめるまで何枚も描いて、模型をつくっては潰ししている間にアイディアが固まっていきます。手の動かしからする納得度、リアリティが出てきて、付け足していくのではなく、不要なものは省いて、必要最小限のデザインで勝負したいのです。完成したデザインをもって、施主に「どうですか、これでいきましょう」とプレゼンテーションします。

服部先生
押す方ですか?

野井先生
押しては引きやけど。(笑) オーナーの性格や気持ちをくみ取りながら、自分のデザインのアイディアをどのようにはめこんでいくかが勝負です。それをやらないと、オーナーは心配します。
服部先生
わりと会話の時間をもたれるのですか?

野井先生
極端な話、惚れ込むくらいのところまで会話をします。「どうも心配してるなあ」と思ったら、最後までうまくいきません。

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